ネットで古本を手に入れた。
定価1200円の本をたったの50円で手に入れたのだから、
タダみたいなもんだ。(ただし送料340円)
山崎ナオコーラの「長い終わりが始まる」
本の帯には
「大学4年生の小笠原は、マンドリンサークルに入っている。未来になんて興味がなく、就職活動よりも
人間関係よりも、趣味のマンドリンに命をかけている。
そして、とても好きな人がいる。」
とある。
まるで、30年前の私のようだ。
(ただし、主人公の小笠原は女性)
そんなに長くないのでいっきに読んでしまった。
作者も國學院大學のマンドリンクラブ卒らしく、
マンドリンサークルの様子も細かく描写されていて、
マンドリンサークル経験者で悪くない思い出をお持ちの方は
読んでみるといい。
本のタイトルは、終わりだしてからが長い曲のことから
来ているらしいが、
実は、人生の中で大学を卒業して社会に出る時こそが、
「長い終わりが始まる」
っていうことじゃないかなと思ってしまう。
「小説や音楽のような時間性のある芸術は、
必ず終わりの予感があるものである。」
と書かれているのを読んで、
「フレーズの終わりは必ず、聞いてる人に
ああ終わりだなって感じるように弾きなさい。」と
レッスンで聞いたことを思い出した。
人生の終わりとなると、必ずしも予感があるものではなく、
ある日突然来るものと思うが、終わりよければすべてよし。
いつも最後のフレーズだけはうまく弾きたいと思っている
のと同じで、人生の最後も素晴らしいフィナーレにしたいと
思う。
・・・ってか。52歳ではまだ早いでしょうか。
昨日午前中は、美川の児童館のクリスマス会、
そして午後は文苑堂示野本店のミニコンサートで
KMEが演奏を依頼されたので参加してきました。
児童館のクリスマス会では子供たちの前で
クリスマスメドレーなどの曲を弾きました。
楽器紹介をしたりしながら、生き生きした子供たちの目を
見てると、とっても気持よく弾けました。
失礼だけど、介護施設などで弾くよりずっと楽しいです。
午後からは本屋さんのど真ん中でのミニコンサート。
普通に本を選んでるお客さんの前で突然弾き始めるのですから
演奏会では弾くのとはちょっと違った緊張感があります。
弾き始めると何人かは立ち止まって聴いてくださっている。
ストリートライブとか有名人がよくやるゲリラライブって
いうのはこんな感じなのでしょうか?
こちらも新鮮な感じで楽しく弾きました。
それにしても、私はマンドリン弾きなんですが、
音楽とおつきあいすることになった原点がロックなので、
ロックってなんかしかめっ面で弾くことが多いんですよね。
その影響かマンドリン弾いてても楽しい曲を楽しそうに
弾くってのがどうも苦手です。
心の中ではとっても楽しいのになかなか楽しそうな顔をして
弾くことができません。
まあ、練習不足でなんとか間違えないように弾き終えること
だけを考えながら弾いてるのも問題アリなんですが・・・
(画像は本屋さんでの演奏)
本番から一週間がたち、やっと少し落ち着きました。
今回はなんといっても「劇的序曲」
30年前の大学2年のとき弾いたことがあったのですが、
あの頃はトレモロもおぼつかなく、ただがむしゃらに弾いてた
だけなのでこの曲の本当のよさはわからないでいました。
今回はある程度指が覚えていたので、他のパートも聴きながら
十分楽しんで弾くことができました。
やはり名曲中の名曲ですね。
今回は佐々木先生のソロも聴いていただけてよかったです。
いつもKMEの演奏会に来てくださる知り合いやお客様にとっては
もしかしたら
KMEのマンドリン演奏=ほんとうのマンドリンの演奏
と思っていらっしゃる人もいるかもしれません。
その方たちはもしかしたら、他の楽器(例えばプロのバイオリン奏者とか)の演奏も聴いていらっしゃって、
そうなると
プロのバイオリン演奏=ほんとうのバイオリンの演奏
という図式が成り立っているかもしれません。
そういうリスナーが
「マンドリンってこの程度」って思っていたとしたら
決してそうじゃないんだよっていうのを
今回の佐々木さんの演奏を見ていただいて感じ取ってほしかったです。
やはり
プロのマンドリン演奏=マンドリンの演奏
プロのバイオリン演奏=バイオリンの演奏
という同じレベルの目線に立って比べてほしいと思います。
KMEの演奏を褒めてくださる人も、ほんとうはマンドリンって
もっとすごくてきれいな音色が出るんだよっていうことを
知ってほしかったです。
そういう意味でも今回の演奏会はうまくいったと思いました。
もうひとつよかったこと。
大学時代の後輩が聴きに来てくれました。(1年下の)
ということは、その子が1年の時に弾いたということです。
そして
「よかったわぁ。あれから30年たってるけど、
曲の流れは細かいところまで覚えているんですね。
あのころにタイムスリップしたようで感動したよ。」
結局、学生時代に弾いたマンドリン曲って
私たちにとっては「懐メロ」なんです。
あれを聞くと青春時代に戻れる・・みたいな。
アンケートの中に
「劇的序曲、聴きたくてわざわざ高岡から来ました」
っていうのもありました。
当日は、富山でも富大ギタマンの演奏会あったのに
わざわざ金沢まで来てくださるとはこれもありがたいです。
マンドリン知らない人には、ほんとうのマンドリンの音色を、
マンドリン学生時代に経験した人には、懐かしさをお届けしたい。
私がマンドリン続ける本当の意味が少し見えてきたような・・
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